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ツーリング

トレンティーノ地方を走りながら夜明けを追って

公開日:2026年2月7日
執筆者:ダイネーゼAGVジャパン編集部
トレンティーノ地方を走るバイク旅の風景

Niccolò Gallo

著者

1992年生まれです。2016年からDaineseで働いており、グラフィック制作や映像コンテンツの制作を担当しています。父がこの業界で働いており、主要なバイクメーカーを顧客に持っていたこともあって、子どもの頃から常にバイクに囲まれて育ちました。
19歳からバイクに乗り始め、好みはツインエンジンです。ガレージにはSuzuki SV1000があります。乗る頻度は本来あるべきほどではありませんが、走らせるたびに本当に楽しい一台です。

今回のルート

午前3時54分。正確には、まだ夜です。アラームが鳴るまであと6分ですが、すでに目は覚めています。8月末の土曜日に、なぜ私は朝4時にアラームをセットしているのでしょうか。すべては、やたらと張り切る友人たちのせいです。
しかも、彼らはいつも私を臆病者扱いします。「山に行って日の出を見よう!」と言い、「楽しいよ!」と言うのです。確かに楽しいかもしれませんが、私にとって朝4時起きはなかなか過酷です。そのことは、きちんと彼らに伝えるつもりです。
とはいえ、誘いを受け入れたのは私自身なので、結局は自分の問題なのですが。

集合はバッサーノ郊外のあのバールに5時30分。さあ、行こう。時間短縮と、この時間帯では食欲がないという理由で、朝食は抜きです。歯を磨き、着替えて15分で出発。SV1000は問題なく始動しました。ヘッドライトはやや上向きですが、その分しっかりと路面を照らしてくれるので気にしません。
家を出てすぐ国道に入り、そこから山へ向かいます。1時間少し走ってヴァルスガーナ渓谷の入口にあるガソリンスタンドに到着。併設のバールが朝5時に開いているのは本当にありがたく、到着直後のCarloと一緒にカプチーノとクロワッサンで英気を養います。
肝心の企画者たちは、案の定遅れてきます。まったく。

数分後、V4エンジンのAprilia特有の低く荒々しいサウンドが聞こえてきて、思わず笑みがこぼれます。クイックシフターの歯切れのいい音とともに現れたのは、今日の企画者であるLuca。素晴らしいTuonoに乗っています。
その後ろにはJurgenとEnrico。何年ぶりでしょうか、この顔ぶれが揃うのは。最後に会ったのは確か2019年でした。やはり、この機会を逃すわけにはいきませんでした。

伝説のマンゲン峠へ

全員が給油を済ませ、北へ向かいます。チヴェッツァーノまでは国道を走り、そこからバゼルガ・ディ・ピネへ上り、チェンブラへ下ります。ここからが本番です。チェンブラ渓谷を上っていくアスファルト道路は、勾配もきつすぎず、見事なワインディングが続きます。
幅のあるコーナーと長短さまざまな直線が組み合わさり、まるでサーキットを走っているかのようです。しかも、この時間帯は完全に貸し切り状態。カヴァレーゼまで進んだ後、ペースを落として右折し、マンゲン峠へ向かいます。
マンゲン峠は、急勾配で狭く、曲がりくねった道として知られ、1970年代以降、サン・マルティーノ・ディ・カストロッツァ・ラリーの伝説的なSSとして、モータースポーツファンに愛されてきました。舗装されていなかった50年前、この道を夜に全開で走っていたことを思うと、背筋が寒くなります。
実際、今も寒いのですが、それは気温のせいです。8月20日とはいえ、かなり冷え込んでおり、天候もあまり良くありません。結局、楽しみにしていた美しい夜明けは見られませんでしたが、それはそれで仕方ありません。

マンゲン峠への道は松林の中を上っていき、2018年秋の嵐ヴァイアによる被害の爪痕が今もはっきりと残っています。山肌がむき出しになった場所や、倒木がまだ撤去されていないエリアも目に入ります。タイトなヘアピンと連続するコーナーを抜け、標高2,047mに到達。
正直なところ、ここをスポーツバイクで走る爽快感はそれほどでもありません。低速でタイトな道なので、軽いスーパーモタードの方が楽しいかもしれません。それでも、私はペースを落とし、この瞬間を楽しみながら、かつてFulvia HFやAlpine、Fiat 124といった車でこの山々を越えたイタリアのラリー黎明期のドライバーたちに思いを馳せます。
空は厚い雲に覆われ、強風が吹き荒れ、気温は20℃を大きく下回り、体感では10℃前後。服装には気を配って正解でした。ファブリックジャケットに着脱可能な防水シェル、下は中厚手のロングインナーとプロテクター入りのテクニカルジーンズ。
ただ一つ、手袋の選択は失敗でした。厚手と薄手の2種類を持って行くつもりが、眠気の中で判断を変え、暖かい方を家に置いてきてしまったのです。教訓です。こんな時間に出発する日は、前日に冷静に決めた準備を疑ってはいけません。
SVのサイレンサーが、思いがけず優秀なヒーター代わりになってくれました。

峠のすぐ下にある山小屋で休憩したいところですが、経験上、料理が美味しいのは分かっているものの、まだ朝8時。さすがにこの時間にニョッキは重すぎますし、提供されていない可能性もあります。さらに、空模様は雨を予感させるため、長居はせず反対側へ下ることにしました。
その前に、ヘリポートで恒例の記念撮影だけは欠かしません。私たちの小さな伝統ですが、風が非常に強く、決してのどかな休憩とは言えないため、すぐに出発します。テルヴェへ下り、この側の道は峠直下こそ狭く曲がりくねっていますが、谷へ降りるにつれて幅が広がり、走りやすくなります。
テルヴェとストリーニョの間で、数時間前に逆方向から走ったSS47ヴァルスガーナ国道を横断し、再びカステッロ・テジーノとブロコン峠へ上ります。こちらは道幅が広く、標高1,616mまでの上りは実に快適です。
ヘアピンもコーナーも大きく、マンゲン峠とはまったく異なるスポーツバイク向きの走りが楽しめます。ただし注意が必要です。カナル・サン・ボーヴォ側へ下ると再び道は狭くなり、テンポ良く走るには少し苦労します。
とはいえ、おかげで手はだいぶ温まってきました。

グラッパ山塊と隠れた名所

この日の最後の上りはモンテ・グラッパです。SR50でラモンまで行き、交通量の少ない北側からSP148を使って上ります。山頂から平野を望む景色は圧巻です。強風のおかげで空気は澄み、ヴェネツィアとその潟、アドリア海までがすぐそこにあるかのように見えます。
左から右へ、フリウリからロンバルディアまで、中央にはトレヴィーゾ県のモンテッロ丘陵やアゾラーニ丘陵、さらにパドヴァ県のエウガネイ丘陵、ヴィチェンツァ県のベリーチ丘陵が広がります。モンテ・グラッパは歴史の地でもあり、第一次世界大戦中の悲劇的な出来事の舞台でした。
山頂にあるイタリア兵とオーストリア兵の戦没者を祀る壮大な戦争記念碑は、一見の価値があります。実際、この山塊全体が探索に値します。未舗装路を通らなければ行けないような、秘密の場所や隠れた眺望が数多くあり、今回のバイクでは行けないのが残念です。
サン・ジョヴァンニやイル・レープレといった小さな集落を通り過ぎますが、同名の居酒屋を中心に成り立ったこれらの村が、今も存在していることに驚かされます。まるで19世紀からそのまま残っているかのようで、農家の庭に停められた数台の車を除けば、ほとんど変わっていません。
サン・ジョヴァンニには「第一次世界大戦小博物館」があり、百年以上にわたり塹壕や森、草原から集められた遺物が展示されています。場所はサン・ジョヴァンニ・ホテル・レストランの中で、しかも料理が絶品です。

モンテ・グラッパでも、しっかり食事休憩を取る価値はありますが、まだ11時。帰宅まで1時間半ほどかかるため、早出のメリットを活かして戻ることにしました。走行距離は約500kmですが、昼食には家に着き、午後は自由時間です。
久しぶりに一緒に走れた仲間たちと、ハグやキスで別れます。これほど久々の再会ツーリングは、本当に嬉しいものでした。期待していた壮大な夜明けは見られず、天候や路面条件も完璧ではありませんでしたが、大切なのは友情です。
走行中でも、ダークバイザー越しの一瞬の視線で通じ合い、休憩のたびに笑顔を交わせる。バッサーノ・デル・グラッパからは国道のみとなり、SVと私は無事に帰宅しました。

モンテ・グラッパからの壮大な眺め

モンテ・グラッパから望む壮大な景色

日帰り山岳ツーリングの計画方法

このようなツーリングは、家を空ける時間が短いため計画は簡単です。今回のように朝4時に出発し、13時には帰宅できます。ただし、8月20日の土曜日のような日は、天候の変化だけが最大の不確定要素です。通常の猛暑日であれば、考慮すべき点はもっと少なかったでしょう。
そのため、春や秋のつもりで服装を整え、先述のファブリックジャケットに加えてレインウェアを用意し、実際ほとんどの時間で着用しました。ブーツはスポーツタイプで、具体的にはDainese Axial D1。
本格的なライディングにおいて、現時点で考え得る最高レベルの安全性を備えながら、スニーカーのように軽く快適なのが理由です。私は足首と足の保護に少し神経質で、頻繁かつ荒っぽく地面に足を着くため、常に最大限のサポートと剛性を求めています。
客観的にはテクニカルシューズや、もう少し穏やかなブーツでも問題なかったと思いますが、Axialブーツがあまりにも快適なので、別の選択肢を必要と感じません。グローブはショートタイプのレザースポーツグローブを選びましたが、ほとんどの時間、寒さに悩まされました。
厚手の予備を持って行くべきでした。ヘルメットはいつも通りフルフェイスで、暗闇での出発に備えてダブルバイザー仕様。最初の数時間はクリア、午前中半ばからはスモークを使いました。

バイクの準備に関して特別な点はありません。走行中は専用のバイク用バックパックを使用しました。決して一番快適とは言えませんが、さまざまな物を収納できて非常に便利です。終始シートに座ったまま走っていたので、走行の妨げにもなりませんでした。
中には予備のバイザー、財布と書類、軽食、水のボトルを入れ、レインウェアも脱いだ後に問題なく収納できました。代替案としては、タンクバッグやタンデムシートに固定するバッグも良い選択肢でしょう。

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ダイネーゼAGVジャパン編集部

ダイネーゼAGVジャパン編集部は、イタリア発のモーターサイクルウェアブランド「Dainese(ダイネーゼ)」およびヘルメットブランド「AGV(エージーブイ)」の日本正規輸入元として、製品情報・アスリートのインタビュー・ブランドの今を発信する編集チーム。 ビギナーからエキスパートまで、ライダーの安全性を最優先にした情報提供を行っています。

2026年2月7日公開
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